公務員を辞める時、
「定年退職は退職金が2,000万円って本当?」
「普通退職は退職金がほとんどもらえないらしい...」
...など退職金についてわからないことが多いですよね。
転職するにも、退職後の生活にもお金はとても重要です。
この記事では「定年時の退職手当の金額」「今、公務員を辞めたら退職金がいくらか」といった疑問が解決できます。
退職後の生活に備えることができますので、ぜひご覧ください。
目次
1.国家公務員と地方公務員の退職金の平均はいくら?
国家公務員の給料や退職金は、民間と大きな差が出ないように計算されています。
内閣官房が国家公務員の退職理由ごとに退職者数と平均の退職金を算出しています。
国家公務員の退職金
【定年退職】
→平均2,106万円
【勧奨退職】
→平均2,540万円
【普通退職】
→平均274万円
勧奨退職は、自治体から職員に退職を勧める制度で定年前に辞めることになります。
早く退職する分、定年退職時よりも支給額が多いのが特徴です。
退職時に資金は十分にあり、時間が欲しい方には良い制度ですよね。
また、令和2年度の地方公務員の退職事由ごとの割合は以下の通りです。
引用:総務省
ちなみに全体の退職者のうち、
・定年退職者が55%程度
・普通退職者は35%程度
・勧奨退職者は5%程度
...と普通退職者が3割以上もいることに驚きました。
退職事由別の退職手当の受給者数などを詳しく知りたい方は、内閣官房が発表している下記の情報をチェックしてくださいね。
画像引用:内閣官房
それにしても、普通退職が定年退職よりも2,500万円弱も退職手当が低いのは驚きです。
実はこれには理由があって、普通退職者の平均年齢は32.2歳なんです。
年齢・勤続年数が増えるにつれて退職手当が増えます。
反対に、若いうちに辞めた場合は退職手当をほとんどもらうことできません。
次の章で年齢別の退職金について説明していきます。
2. もし公務員を辞めたら..年齢別の退職金をチェック
公務員の普通退職の理由は、転職や体調不良など事前にが想定できるものではありません。
どちらにせよ生活に資金は必要なので、年齢ごとの退職手当をチェックしておきましょう。
【年齢別の退職手当一覧】
年齢 | 退職手当(平均) |
20〜24歳 | 28万円 |
25〜29歳 | 65万円 |
30〜34歳 | 119万円 |
35〜39歳 | 192万円 |
40〜44歳 | 369万円 |
45〜49歳 | 821万円 |
50〜54歳 | 1182万円 |
55〜64歳 | 1564 〜 1579万円 |
65歳以上 | 248万円 |
40代は退職金の額に幅がありますが、
・20代は100万円未満
・30代は100〜200万円
・40代は300〜900万円
・50代以上は1,000〜1,500万円
...というように10年単位で大きく金額が変わる印象があります。
以下の円グラフのとおり、普通退職者は若手が多く、40代以降は一気に少なくなります。
最も普通退職者が多い年代は20代後半で、次に多い年代が30代前半となっています。
比較的公務員からでも転職しやすい20〜30代が普通退職者の中心になっているようです。
ちなみに民間と差が出ないよう計算されている退職手当ですが、
退職金はどの年齢で見ても、国家公務員の方が民間企業よりも高くなっています。
勤続年数で見ると、公務員も民間も勤続年数41年目に退職金が最も多いことがわかります。
公務員2,753万円と民間2,471万円で、公務員の方が282万円高い状態です。
退職金という点では圧倒的に公務員の方が恵まれていますね。
画像引用:内閣官房
3.公務員の退職金の計算方法
国家公務員の退職手当は、退職日の俸給月額に退職理由別・勤続年数別の支給率を乗じて算出されています。
【退職手当】=
【退職日の俸級月額】×【退職理由別・勤続年数別の支給率】
国家公務員と地方公務員の勤続年数別の支給率は以下の通り
地方公務員退職手当支給率
画像引用:内閣官房
4.こんなに減ってる?公務員の退職金の現実
退職金は、国家公務員も地方公務員ともに減少傾向にあります。
国家公務員と地方公務員の過去5年分の退職手当の推移を見ていきましょう。
【国家公務員の定年退職手当の推移】
年度 | 定年退職金 |
令和元年度 | 2,090万円 |
平成30年度 | 2,068万円 |
平成29年度 | 2,108万円 |
平成28年度 | 2,167万円 |
平成27年度 | 2,181万円 |
【地方公務員の定年退職手当の推移】
年度 | 定年退職金 |
令和元年度 | 2,213万円 |
平成30年度 | 2,218万円 |
平成29年度 | 2,296万円 |
平成28年度 | 2,295万円 |
平成27年度 | 2,307万円 |
直近の5年間で退職金がどれくらい減少してるかというと、
・国家公務員は91万円減少
・地方公務員は94万円減少
...どちらも5年間で100万円弱の減額がされています。
今後も退職手当は徐々に減額されることが推測されています。
ポンコツ公務員でも簡単に「人事評価を上げる方法」や「副業ブログで収益を得る方法」を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
5.自治体によって違う!公務員の退職金が高い自治体ランキング
令和4年の都道府県トップは静岡県の2,384万円で、ワーストは佐賀県の1,934万円でした。
静岡県と佐賀県では物価も異なるので単純な比較はできませんが、上位と下位の差は450万円もありました。
都道府県退職金ランキングトップ10
順位 | 自治体名 | 60歳定年退職金 単位:万円 |
1 | 静岡県 | 2,384 |
2 | 愛知県 | 2,313 |
3 | 東京都 | 2,312 |
4 | 沖縄県 | 2,281 |
5 | 山梨県 | 2,274 |
6 | 福岡県 | 2,262 |
7 | 栃木県 | 2,258 |
8 | 茨城県 | 2,255 |
9 | 神奈川県 | 2,255 |
10 | 山形県 | 2,243 |
参考:総務省
都道府県退職金ランキングワースト10
順位 | 自治体名 | 60歳定年退職金 単位:万円 |
38 | 長崎県 | 2,104 |
39 | 広島県 | 2,102 |
40 | 島根県 | 2,097 |
41 | 山口県 | 2,096 |
42 | 高知県 | 2,078 |
43 | 京都府 | 2,064 |
44 | 北海道 | 2,059 |
45 | 富山県 | 2,058 |
46 | 福井県 | 2,030 |
47 | 佐賀県 | 1,934 |
参考:総務省
市町村はさすがに多すぎて、トップ10だけリサーチしました。
市町村退職金ランキングTOP10
順位 | 自治体名 | 60歳定年退職金 単位:万円 |
1 | 国立市(東京) | 2,954 |
2 | 加須市(埼玉) | 2,462 |
3 | 開成町(神奈川) | 2,455 |
4 | 長沼町(北海道) | 2,439 |
5 | 大分市(大分) | 2,432 |
6 | 袖ヶ浦市(千葉) | 2,424 |
7 | 蓮田市(埼玉) | 2,396 |
8 | 東庄町(千葉) | 2,388 |
9 | 小山町(静岡) | 2,387 |
10 | 熊谷市(埼玉) | 2,385 |
参考:総務省
都道府県よりも市町村のトップ10の方が、退職金が高いですね。
しかも東京都国立市は2,954万円とかなり高額で市町村2位の埼玉県加須市よりも500万円ほど差があります。
退職した世代の役職や退職者数によっても異なると思うので、次年度は順位に変動がありそうです。
6.公務員の退職金の入金タイミングと税金
退職金は、退職月の翌月に指定の口座に振り込まれます。
3月末に退職した場合は、翌月の4月に入金がされます。
民間企業と同様に、公務員の退職金も所得税及び住民税の課税対象です。
計算方法は(退職手当額-退職所得控除額)×1/2(1,000円未満切り捨て)です。
退職所得控除額の求め方
【勤続年数が20年以下の場合】
→勤続年数×40万円(80万円未満の場合は80万円)
【勤続年数×20年を超える場合】
→(勤続年数−20)×70万円+800万円
なお、退職金の税金は、基本的に源泉徴収されるので、確定申告は不要です。
7.まとめ
公務員の退職金は民間企業よりも高いので、長く勤めた方がオイシイ職業です。
定年まで勤めれば、およそ2,000万円程度の退職手当が手に入ります。
ただし、退職手当は徐々に減額されており、今後も少なくなる見込みです。
ですが、民間と比較しても公務員の退職手当は充実しています。
厚生労働省の調査では、30人以上の従業員がいる企業のうち2割が退職金制度がありません。
しかも、生涯年収においても事務職では高給であり、給料面でも長く勤めた方がお得です。
しかし、実際にお金が必要な年齢である20代〜40代での給料は決して高くありません。
民間企業で給料が高く、退職金制度が整っている企業で働くことが金銭面ではベストでしょう。
公務員から民間企業への転職を検討している方は、以下の記事も参考にしてください。