国家公務員で最も残業(超過勤務)時間が長い組織ランキング
2021年に国家公務員の「残業時間が軽く過労死レベルを超えている。」「残業に対して手当が支給されていない」という内容のニュースが報道され、国家公務員のブラックな勤務体制が話題になりました。
参議院のホームページで2021年12月から2月の国家公務員の組織別残業時間について、情報が開示されていたので、情報を見やすい形に落とし込んでみました。
情報の整理を行ったところ、以下の2点が一目瞭然となりましたので、ご紹介します。
①どの組織に属している職員が最も月間残業時間が多いのか?
②どの組織が総合的に残業時間が多いのか?
とりあえず、今回は①について説明して行きます。
月間の残業時間数が最も多かった職員とその所属組織
・ワースト1位 内閣官房 364時間
・ワースト2位 経済産業省 326時間
・ワースト3位 財務省 266時間
部署全員で364時間ではなく、1人で月に364時間残業しています。
ワースト1位と3位の間に100時間の差がありますので、1ヶ月の勤務日が20日(週5日勤務で4週間の場合)だとすると、1日5時間以上多く残業する必要があります。これはとても大きな差ですね。
参照:参議院HP
残業時間最多組織である内閣官房・経済産業省・財務省の仕事とは?
・内閣官房の仕事内容
内閣の首長たる内閣総理大臣を直接に補佐・支援しています。新型コロナウィルス感染症対策を担っているのが、内閣官房です。
今回の結果は、少なからずコロナ対応によって残業時間の増えていそうだと想像がつきます。
・経済産業省の仕事内容
日本を豊かな国にすることが主な任務で、貿易を盛んにしたり、資源やエネルギーを確保することも重要な任務の一つです。
コロナ関連だと、企業への影響を緩和し、企業を支援する一時金等の支給等を担っているので、コロナの影響によって残業時間が増えている部署の一つであると考えられます。
・財務省の仕事内容
少子・高齢化、国際化など経済社会の構造変化に対応できる21世紀のあるべき税制をきずくことを担っている。
コロナ関連だと、飲食・宿泊等事業者への資金繰り支援等を実施しており、こちらもコロナの影響によって業務量が増えていると考えられます。
上位3位の特徴としては、どちらもコロナ関連の仕事が増えており、その対応により一定程度の残業時間が増えているものと推測ができます。
参考程度に以前調査した東京都・特別区の超過勤務手当(残業代)のデータを掲載しますので、比較材料として合わせてご確認ください。
月364時間残業ってプライベートな時間ってあるの?
月364時間残業の人のプライベートな時間ってどれだけあるか。
①土日祝は休んで20日間出勤の場合、1日あたり18.2時間が残業時間。
これだと、時間内8時間+残業18.2時間=1日26.2時間働くことになっちゃうので、確実に土日も出勤してる!!
土日フルで出勤前提で計算しなおす。
②土日祝は休まず30日間出勤の場合、1日あたり12.1時間が残業時間。
時間内8時間+残業12.1時間=1日20時間勤務
→プライベートが「通勤」「睡眠」「食事」の時間込みで1日4時間
※土日祝は12時間勤務
16位の国土交通省ですら...200時間の残業
これもプライベート時間を計算しましょう。
①土日祝休んで20日出勤の場合、1日あたりの残業時間が10時間。
時間内8時間+残業10時間=1日18時間勤務
→プライベートが通勤」「睡眠」「食事」の時間込みで1日6時間
通勤時間。寝る時間を考えると土日祝は出勤していた気がします。
②土日祝は休まず30日間出勤の場合、1日あたり6.6時間が残業時間。
時間内8時間+残業6.6時間=1日14.6時間
→プライベートが「通勤」「睡眠」「食事」の時間込みで1日9時間弱
残業200時間でもプライベートはほぼ皆無です。
しんどすぎて、自分なら辞めてますね。笑
月間の残業時間数が最も少なかった職員とその所属組織
1位 公安審査委員会 12時間
2位 公害等調整委員会 44時間
3位 中央労働委員会 59時間
残業時間最小組織「公安審査委員会」「公害等調整委員会」「中央労働委員会」の仕事とは?
・公安審査委員会
破壊的団体及び無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関し,適正な審査及び決定を行うことを任務としています。
・公害等調整委員会
調停や裁定などによって公害紛争の迅速・適正な解決を図ること、 鉱業、採石業又は砂利採取業と一般公益等との調整を図ることを主な任務としています。
・中央労働委員会
労働組合と使用者との間の集団的労使紛争を簡易迅速にかつ的確に解決するため、次のような事務を行っています。
下位3位については、コロナとの関連性を見出すことはできませんでした。
まとめ
私は、地方公務員として残業していた方だとは思いますが、国家公務員の残業時間はケタ違いでしたね。
月364時間って殺人的な残業時間ですよ。
個人の感想ですが、一度残業できると見なされた人材は、異動があっても、また忙しい部署に配属されているなーっていう感覚があります。
若手の国家公務員が退職をしている中、優秀な人材が流出しないように残業を見直すっていう風が吹いているので、この機会に一気に体質改善が進むことを願います。